「ここがね」

「俺さ……」


いきなり話し出す葉月。

葉月にしては珍しく真剣な顔をしてる。

説明を遮られたのも、全然気にならないくらい。

「姉ちゃんの学校行って…
通ってる人たち見て…
翔兄見て…
俺、思ったんだ」

あんな不良だったあの子がこんな風に話すだなんて…

変わったね…。

「先生になりてぇ
って」

嘘…

あたしはまだ夢なんてもってない…
けど葉月はいつのまにか夢まで決めて…

「そっか…葉月、やりたいこと見つかったんだね」

「まぁ、な…
だからな俺高校さ、姉ちゃんのとこ行くよ
そんで翔兄見習う。あ、絶対本人に言うなよ?調子乗るから」

もう何年も聞いてなかったやりたいこと…
もう何年もまともに会話しなかった。

けど…葉月は葉月なりに成長してた。

あたしは?