そのとき、ラジオから音楽が流れた。 お母さんが死んだときによく流れた音楽。 お母さんを思う、子供の歌。 お母さんに向けた子供の歌。 ・・・・やばい、泣けてくる。 「いい歌だな、」 「ん、」 先生のやさしい声でそういわれると、とうとう涙を我慢できなかった。 あたしを見ないで、先生。 しっかりと前を見る先生に、心から願った。