「恭平―…。私は…」
「蘭ちゃん。」
言葉が詰まる私の名を京花が呼んだ。
急に聞こえた京花の声に驚きながら「何。」と聞くと、部屋の扉が開き京花が入ってきた。
「学校行きなよ。」
部屋に入ってくるなり、私の目をじっと見て口にする京花。
京花も私の心配―…?
「学校は卒業しときなよ。別に教室まで行かないでいいからさ、涼兄ちゃんの所でも居たら?」
私の気持ちを知ってか、教室には行かなくていいと言う京花。
でも学校には行けと言う。
まるで私が“学校”に行くのに選択肢は一つしかないとでも言うように。
いや、言っているのか。

