「おっす、清瀬。」

「うっす。」

「あれ?…あれーぇ!」

「おはよ。」


学校のそばに来ると、周りの目が、こっちに向けられているのがわかった。


耳に入ってくる声は、

“誰?”

そして、

“うっそー”“どーしたの?”

などなど…


教室に入ると、女子が一斉に

「キャー!誰かと思ったー!いーよ!いー!」と、

たちまち佳菜子を取り巻き、

何人かの男子も、

「おー!男でも出来たか?」と、

興味本位で近寄ってきた。


もちろん、迷惑そうに、その騒ぎから遠ざかっていく者もいたが、

その日の佳菜子は、一躍、話題の人となっていた。

しかし、

「今までがヒド過ぎたんだよ。特に可愛いワケじゃないじゃん。」

と、冷静と言うより、僻みとも思える声もあった。


「他のクラスのほとんどのヤツが、転校生だと思ったってよ。どんだけ影が薄いのって話だよね。」

「しかも、清瀬と一緒に登校してたって話じゃん?」

「なにそれ?つきあってんの?」

「まさか!おな中らしいよ。」

「知らなかった。」

「なに?まさかストーカー?高校まで同じとこ受けちゃった?」