そして――――――その4年後、ジンのサロンにて……………


「ところで佳菜子ちゃん、新しい名字は何になるの?」

「あ、聞いちゃいますぅ?」

「当然。カルテ、書き変えないといけないんでね。」

「あー、それって、旧姓のままにしておけないんですか?」

「…別にいーけど…ダイレクトメール、新居に届かないよ。」

「実家に帰る口実になるし。」

「なるほど。なーんか、穏やかじゃなく聞こえるけど…今の新婚さん事情ってそんな感じ?」

「新婚さんって…こっぱずがしいなぁ」

「だってほら、もっとウキウキしてるもんじゃないの?」

「あぁ…つきあい長いから…かな?」

「そーなんだ?どのくらい?」

「…どのくらいだ?…もの心ついた時から?」

「え?」

「幼なじみなの。」

「それって、よく話題になる清瀬くん?」

「そ。清瀬佳菜子でーす。」

「…なるほど。」

「でも、今まで通り佳菜子ちゃんでお願いします。」

「かしこまりました。」