どこかで誰かが…

「生徒から聞いただけだからさ、詳細が知りたかったんだけど。」

「あ…じゃ、あとでメールする!やっぱり疲れてるみたい。ちょっと寝たいから私。」

「……ん。じゃあ…よろしく。」


何も追求せずに部屋を出ていく清瀬。


佳菜子は、帰っていく清瀬を窓から確認し、もう一度パソコンを開いた。


新着メールのアドレスは、やはり例のモノと同じで…
目を固く閉じて頭を振り、メールは読まずにミニバスチームのホームページへとスルーした。


スケジュールをメモして、
コメントを読んでも、ちっとも笑えず…

さっき話してた練習試合についての詳細を、携帯から清瀬にメールする。


『サンキュー!早く寝ろよ。』


すぐに返ってきた、たった一行のコメントが、ほんの少しだけ、佳菜子の気持ちを癒したようで

(話してみようかな…)

返信ボタンに指を置くが、

(先に読んだ方が良いか…)

なんとか、パソコンの前へと向かわせた。


しかし、キーボードに触れようとする指が震え、

「どうしよ…やっぱり無理だ。」

その時、また携帯電話が鳴り、


「寝るんじゃねーの?電気が点いてるぞー。」

「え?」

「外!」


窓の外を見下ろせば、そこには、さっき帰ったはずの清瀬が立っていた。