どこかで誰かが…

“行くなよ。”


今にも飛び出してしまいそうな言葉を必死に堪えながら、

「まぁ…焦ることねーよ。近くねーんだ、しょうがないって。…言葉も文化も違うし…俺だってきっと躊躇するよ。」


説得力のある言い方で、
自分に都合良く言いなだめては、

「…うん…」

「片桐くんの気持ちも分かるけどさ、」

「気持ち?」

「そりゃ〜1日でも早く、おまえと…さぁ…」


今度は、片桐の気持ちを代弁している自分に気付いて口籠もる。


それはまるで、自分の気持として伝えてるようにも思えてきて…


昔から、当たり前のようにそばにいて、空気に近い存在だった佳菜子。


思春期に、二人の仲をからかわれ初めて意識した。


わざと無視をして、
たまに話せば口喧嘩。


大沢に“好きなのか?”と聞かれ“あり得ない”と答えた以上、
気になっても、気にならないフリを通さなければならず、
いつしか、それが“普通”になり、
今日までの日々を過ごしてきたのだが、

とうとう、

自分の気持ちの核心の部分に触れてしまった感じで…


(どうする?…どーすればいいんだ?)


突然、佳菜子の顔が見れなくなる清瀬は、

「大切な人には、そばに居てほしいだろうから…」

消して間違っていない言葉を投げるのだった。