どこかで誰かが…

と、その時―――

「堀口?」

(えっ…)

振り返る佳菜子の目の先には、
いつもと変わらぬ清瀬の姿が…


「…何してんの?」

「え、あー、トイレ。」

「…」

「わざわざ来てくれたのか?」

「だって、事故にあって大変だって…」

「あ〜、一瞬だけ気を失ったみたいで…でもホラ、このとおり、ピンピンして」

「なによ…」

「え、」

「心配したんだから…」

「え!あ、ちょちょちょ」


張り詰めていた糸が切れ、腰が砕けたように倒れ込む佳菜子を、咄嗟に受け止めた清瀬は、

「大丈夫かぁ?!」

「力が…」

「と、とりあえず、中に入ろう」

しっかりと支えながら、ベッドに腰掛けさせた。

そして、

「足がガグガクしちゃって…」

そう言って足を擦る佳菜子を見て

「ゴメン…心配かけて…」

子供が謝るように言う。

すると、

「ち、違うよ!運動不足だったの!久しぶりに走ったから…」

こんな時でも、素直ではない佳菜子に合わせ、

「どこから走って来たんだよ?!…つーか、おまえももう、年だってことだな!」

言い返してみせるのだった。