どこかで誰かが…

きっと清瀬も、そんな展開になるとは思わず、口を滑らせてしまったのだろう。


(私のこと…だったのかなぁ?…頑張ってるの見て自分も頑張ろうと思ったって…どーゆーこと?)


少し…ほんの少しだけ気になりはするものの、

「聞けるわけないか…」


その答えが怖くもあった。


その翌朝…

出勤前の佳菜子が玄関を出た時、ちょうど、その前を清瀬が自転車で通りかかった。


「お…っす。」

「あぁ、おはよ。」


ペダルから足を下ろして止まる清瀬。


「…なに?」

「何じゃねーよ。メール!読んだのか読んでねーのか、どっちだよ?」

「読んだよ。」

「…で?」

「だからなんだって感じかな。」

「あ、そ。」

「そ。早く行けば?遅れるよ。」

「…じゃな。」


なんとも、あっさりと引き下がる清瀬に、拍子抜けしながら、

走り去る背中を見つめ、

「あ〜…」

素直になれない自分に呆れる佳菜子だった。


本当に許すことはできなかったのか?
もう、時は既に遅い?


清瀬に対する態度と言動に後悔する佳菜子は、
メールに書いてあった清瀬の気持ちの、一番の理解者となっていることに気付くのだった。