どこかで誰かが…

こうして帰国した佳菜子だったが…気持ちの整理が出来たのかと聞かれれば、
心から“はい!”とは言えなかった。


両親に土産を渡しながら、カナダの様子を語りはするものの、なかなか“本編”に触れることができず…

そんな娘を気遣ってか、
ソレ以上を聞いてこない両親には“感謝”というよりも、“すまない”気持ちすらする佳菜子だった。



清瀬が部活へと出かける時、
リビングのテーブルの上に、楓のマークのついた、お菓子の箱らしきモノを見つけた。


(あれ…帰ってきたんだ…)


あえて、そのことには触れず、

「いってきます。」

学校へと向う。


自転車でいつもの道を走っていると、見覚えのある後ろ姿が視界に入ってきて…

(げ!居るなよなぁ…)


それは、ミニバスケットの指導に向かう途中の佳菜子だった。


その横を、黙って後ろから通り過ぎる清瀬。



「あ…(なによ、怒ってるのは私の方だっつーの!)ムカつく。」


機嫌を損ねた佳菜子には、
これ以上の波風を立てまいと、わざと知らんぷりした清瀬の思いなど、理解してもらえなかった。


そのまま、振り返りもしなかった清瀬だが、

ペダルを漕ぎながら、あることを考えずにはいられなかった。


(まだ、ちゃんと謝ってなかったなぁ…俺。)