どこかで誰かが…

それからというもの、片桐の着信音はピタッと止まった。


それが、どうも電源を切っていたらしく…

食事をして、買い物を終えて帰ると、家の前に一人の女性が立っていた。


「あれ?」

「はぁ?おまえ何しに」

「こんにちわ佳菜さん!何度も電話してしまってごめんなさい!私、片桐大地のアシスタントをしてる結城と言います。よろしく!」


その女性は佳菜子めがけ近寄り、強引に握手をしてきた。


「あ…あ、どうも。(アシスタントって女だったの?)」

「おま、家まで来て、なんなんだよ?」


珍しく、片桐が冷たく感じた。


「仕事を人に押しつけてまで一緒にいたい彼女に興味があって!」

「え?」

「ふざけるな。自分のミスでトラブったんだろ。自分で何とかしてあたりまえだ。」

「無事解決したでしょ!」

「誰のお陰だと」

「だから、そのお詫びとお礼に私がおごるって言ってるんですぅ!せっかくだから佳菜さんも一緒に、ね!食事しましょ!」

「え!(さすが、海外生活が長いだけあって、ハッキリしてるな…)えっと」

「バカじゃねーの!なんでおまえと…佳菜が困ってんだろ!」

「ん?困ってますぅ?」

「あ、いいえ!私は大地くんに…任せるよ。」

「あは、大地くん!?かわい〜呼び方!」

「いーから帰れって〜!」

「どうしても?」