どこかで誰かが…

部屋に戻ると、片桐が帰ってきていた。


「どこ行ってたんだよ!!」


血相を変えて近寄ってきては、

「ごめ、きゃっ!」

力一杯、抱きしめられる佳菜子。


「心配すんだろ!」

「ごめんなさい。ちょっと散歩に…こんなに時間が経ってたなんて…」

「携帯は?」

「充電、忘れちゃったの。」

「ホントさぁ…ドジ。」

「うん。」

「…大丈夫だったか?」

「子供じゃないんですけど。」

「だな。」


ようやく佳菜子を解放する片桐。


「楽しかった?何買ったの?」

「クッキー。お土産用にね。」

「…あのさ、何時頃に出たんだ?電話なかった?」

「10時頃…それまでには無かったよ。なんか重要な電話だった?でも、どうせ出ちゃダメだったんでしょ?」

「ああ、出なくていーよ。」

「怖くて出れないよ。ペラペラと英語で喋られても困る。」

「あはは、相手も困るだろうしな。」

「…」

「ん?どうした?」

「英会話の勉強しなくちゃだなぁって…」

「そんなの、なんとかなるよ。今日だって何か問題あったか?」