どこかで誰かが…

佳菜子の気持ちに覚えのある清瀬は、ふと、ゆっことの時を思い出していた。


あの時の自分も、やたらと不安な気持ちになったもので…その予感は当たってしまった。


(こーゆーのって、なんとなく分かるもんなんだな…)

少し疑いながらも、

「連絡はとってるんだろ?」

「うん。…毎日ではなくなったけどね。」

「俺んとこにだって、おまえのコトでメールがくるよ。」

慰めるしかない。


「…」

「心配なら、行って確かめてくれば?夏休みでもとってさ!」


一度知ってしまった幸せを、失うことほど悲しいものはないと、佳菜子は知っていた。


このままだと、

(もし何かあったら…その時は俺がいるだろ!)

そんな言葉を口走ってしまいそうで…

「そろそろ帰ろっかな!」

「え、あ、うん。」

「…大丈夫か?」

「あー、大丈夫!ごめんね、変な事聞いて。」

「あ、明日さ、会社帰る頃、連絡しろよ。行けたら迎えに行ってやるから。」

「どーしたの?」

「怯えながら帰るよりは良いだろ?」

「だって部活でしょ?」

「だから…じゃあ、こうしよ!駅で待ち合わせ!」

「…わかった。ありがと。」

「お。どーいたしまして。じゃ、ご馳走様。」

「うん。」

「鍵、かけろよ!」

「はいはい。おやすみ。」

「…うん。おやすみ。」


後ろ髪ひかれながらも、振り払って清瀬は帰っていくのだった。