どこかで誰かが…

清瀬が大沢の電話を受けた時、
姉の手料理を父と二人でビクビクしながらつまんでいたところで…まさにグッドタイミングだった。


部活は午前中で、夕方には帰っていて、
シャワーも浴び、あとは寝るだけといった格好から、慌てて着替え自転車を飛ばした。


駅に着くと汗がどっと吹き出してきて…
ただ一刻も早く、佳菜子と大沢が二人で居る場所へと辿り着きたかったのだ。

それに、

大沢がいれば、あれ以来挨拶さえする機会のない佳菜子とも、なんとかなるような…
そんな期待が、ペダルを漕ぐ足を余計に速めたに違いない。


自転車を止めてメールを確認すると、店名が送られていた。


「居酒屋かよ…」


汗を拭い、大きく深呼吸をしてから歩きだす。

佳菜子への第一声を何と言うべきか考えながら…



店の扉を開けた途端、店員が勢いよく声をかけたおかげで、

「おーキヨ!こっちこっち!」

先に大沢に気付かれ、何食わぬ顔で近づいて行く清瀬は、二人がテーブルを挟み向き合って座っているのをチェックしていた。


「ういーす。」

「うーす。」

まずは大沢と挨拶を交わし、その流れで佳菜子にも、

「うす。」

「う…ん。」

そして、

「つめろつめろ。」

何も無かったかのように隣に座ってみせる。