どこかで誰かが…

それからと言うもの、
まだ人の目の多いうちに、家に帰りたくて、
残業にならぬよう、
できるだけ定時で上がれることを心がける佳菜子。


そのうち、気づけば学生は夏休みに入っており、
いつまでも明るい街には、開放的要素が漂っていた。


いまだかつて、ナンパの経験すらない佳菜子だったが、
コンビニでの件があって以来、
ただ、すれ違うだけの異性にも、敏感に意識するようになり…

その日もバスを降り、そそくさと家に向かいながら、聞き耳をたてて歩いていた。


住宅街に入ってからニ番目の角を曲がったとき、
後ろを誰かが歩く気配を感じはしたのだが、

いくら気の強い佳菜子でも、振り返って直視する勇気がなかった。


警戒心から、自然に歩く速度があがっていく。

すると、

(あれ?なんか、足音が速くなったような…)

さっきよりも足音が近づいてきているのが分かった。


(ヤバイかも…どうしよう…)


気持ちは焦るのだか、背中に何かがのしかかっているようで、それ以上速く足を前に出すことが出来ない。


次第に鼓動は速くなり、まともな呼吸も出来ず、まるで走った後のような息苦しさと脱力感に襲われていた。


と、その時だった………


「おい!」