どこかで誰かが…

ただ、自転車で颯爽と駆けつける清瀬をガラス越しに見つけた時、
心からホッとするのだった。


もちろん、その期待通りの行動には感謝している。


心配性な親や、彼氏にすら話せない事でも相談できる清瀬とは、
佳菜子にとっても掛け替えのない存在であり、
その近すぎず遠すぎない距離を、ずっと大切にしてきた関係だ。


久しぶりの自転車の二人乗りは、あの頃よりも大きくなった清瀬の背中が、一段と頼もしくなっていることを確信させる。


でも、今日の事は話さない。


いつ、どうやって親の耳に入るか分からないからだ。


そしたら、ここまで積み上げてきた親子間の安定と信用が、あっという間に崩れ落ち、たちまち籠の中の鳥になりかねない。


カナダに行くも何も、
国内旅行すら許してもらえなさそうで…

どうしても、それだけは避けたかった。


そんなことを考えているうちに、すっかり家の前にいて、

「…ありがと。」

「ん。じゃな。」

「おやすみ!」


余計なことは話さず、それぞれの家に帰っていく二人だった。