どこかで誰かが…

そこには、見ず知らずの女性が立っており、
その後ろにいる女の子にも、やはり見覚えはなかった。

しかし、

「久しぶりねー!元気なの?」

「あの、人ちが」

「たまにはユージにも連絡してやってよー!」

佳菜子に話す隙も与えず、大きな声で喋り続ける女性は、

「これ、あの子の今の電話番号」

と、携帯電話の画面を至近距離で見せてくる。


さすがに視線を移すと、そこには数字ではなく…


『あなたの後をつける男がいる』


それを見た瞬間、佳菜子の背筋が凍った。


「ちょっと電話でもしてみたら?大丈夫!おばさんがついててあげるから!」


そう言って微笑みながら、細かく頷いてみせる女性は、

「…行ったかな?…うん、行った行った。」

と、今度は小さい声で、

「驚かせちゃった?ごめんなさいね。私ったら心配性で、いつも娘をバス停まで迎えに来てて…」


それまでの様子を話しはじめた。


「貴方が信号の先で立ち止まった時、後ろの男が歩く速度を落としたのが気になったの。コンビニに入っても何を買うってワケでもないみたいで…だから電話を取り出してさ、そしたら、雑誌を読み終わった貴方について出て行くもんだから、これはイケないと思ってね、」

「あ…」


言葉以前に、声も出せないほど動揺する佳菜子だった。