どこかで誰かが…

しかし、そうも黙っていられない出来事が起きた。


それは、会社の親睦会に顔を出した佳菜子が、いつもより、少し帰りが遅かった日のこと。


普段から気が利かないくせして、周りに気を使いながら、それほど飲み食いもできずに過ごさなければならない時間が、どれだけ過酷なものか…

そんな状況から解放された途端、たちまち小腹が空いてきて、

「甘いモノが食べたいなぁ…」

帰りのバスに揺られながら、コンビニに寄ろうと決めていた。


バスを降り、まずは反対側に渡るため、横断歩道の手前で立ち止まるも、
信号はすぐ青になり、ゆっくりと歩きだす。

が、渡りきった所でも、もう一度足を止めて左右を見渡す佳菜子。


それぞれ違うコンビニの、どちらに行くかを考えていたのだ。


結果、先に、家とは逆方向の店へと行っておくことにして、
そこで、
お目当てだったコーヒーを手に、品揃え豊富なスウィーツコーナーで散々品定めをして選んだプリンを、レジでピッタリの小銭で支払うことができると、
なんだか、少し嬉しく、
そんなことが気分転換になったりした。


そのまま帰ると思いきや、
雑誌コーナーに立ち寄り、情報誌に目を通しはじめ…

しばらくたって、今度こそ出口に向かう。


そして、さっき来た方向を戻るように歩きだした時、

「ねぇ!キョーコちゃんじゃない?!」

そんな女性の声が聞こえた瞬間、

「え?」

肩を掴まれた佳菜子は、強引に振り返えさせられていた。