どこかで誰かが…

清瀬が中学校の教師になり、もう1ヶ月が過ぎようとしている。


念願であったサッカー部で、副顧問になることができ…
それはもう、かなりの張り切り様で、
朝から気合いを入れ過ぎ、帰宅前にはヘトヘトだと、
親を通して佳菜子の耳にも入っていた。


やはり、バイトの時とは緊張感が違うのだろう。


先輩風を吹かして微笑む佳菜子も、仕事とコーチとの両立にも慣れ、さらに、チームの向上を考える毎日だ。



ある日、サッカー部の前顧問から練習試合の依頼を受け、
遥々、電車に乗っての遠征に引率することになった清瀬。


双方、同じくらいの力量で、1対1という結果に、何度か逃したチャンスを悔しがる生徒を見ては、

“まだまだ見込みがある!”

と、確信させてもらうのだった。


そんな清々しい気分で、乗り込んだ電車の中、

「清瀬…くん?」

名前を呼ばれ、声の方向を見てみれば…

「え…。」

思わず、その目を疑わずにいられなかった。


何故なら、

そこに居るのは、まぎれもなく高木で、


「久し振りだなぁ…覚えてる?」

「ああ。…元気か?」

「まあ、なんとかな。」

「…そっか。」


活躍ぶりを話に聞いているとは、悔しさから、口にできずにいる自分がいた。