どこかで誰かが…

一方、佳菜子はというと、夏になっても内定を貰えずにいた。


まだ、何がやりたいのかが定まらず、ただ焦るばかりの佳菜子の就職活動は、

有名な企業から、将来性が話題となっている企業、
また、
待遇に目を付けたり、安定面を求めてみたりと、

まるで手当たり次第といった感じで…


そんなだから決まらないのだと、自分が一番よく理解し、悩んでいることを知っているだけに、
誰も何も指摘できず、見守るしかできずにいた。


そんな状況のまま季節は秋となり、ついに事態は深刻となった。


そんなある日こと…


「なんなら、俺のお嫁さんになっちゃうとか…」


いつものように、おどけた口調の片桐に、

「今の全然笑えないから。」

電話の向こう側から、真顔で返す佳菜子。


「私が真剣に悩んでるのがわからない?」

「わかってるよ。」

「ウソ。なんの苦労もなく、ここまでやってきた大地くんに、私の気持ちなんか分かるワケない!」

「…なんだよそれ?」

「だってそーじゃん。好きなコトしてきて、ソレが仕事になるなんて…そんな人の言葉、なんの説得力もないどころか、ただでさえイヤミなのに!」

「ちょっと待てよ、」

「こっちは仕事の愚痴一つ聞かされたって苛々するって言うのに、そんな冗談…馬鹿にしてるとしか思えない!」

「馬鹿になんかしてねーだろ!」

「してる!私には就職は無理だって、そう聞こえた!」

「…なら、好きな事すれば?」