そして季節は過ぎ、年が明け、
寛貴の受験勉強も追い込みを迎えていた。


「もう、ここまできたらやるしかないよな。」

「ん！」


例の好きな女の子と同じ学校志望と知り、
それからと言うもの、
別人のように勉強に打ち込む寛貴を、心から応援する清瀬。


その甲斐あってか、
寛貴は無事、志望校に合格！！


春になれば、意中の彼女と、同じ高校に通えることとなったのだ。


こうして清瀬は、安藤家との契約も終了となり、
お祝いも兼て、招かれた食事会に最後のつもりで参加することにした。


父親以外の家族と、清瀬の４人で安藤家の食卓を囲み、和やかな時間を過ごしたあと…


「あ、あたしコンビニに行く用事があるんだった！」


帰る清瀬を追って、姉の恵利花がついて来るのがわかった。


「これで、うちとの関係は完全にプライベートになったんだよね！？」

「え？！」

「契約の延長なんかするからさ、あたしスゴい待っちゃったよぉ。」

「…あー。」


思いもよらず、清瀬の元にも、
ひと足早い“春のおとずれ”が、舞い込んで来たのだった。