清瀬のことを気に掛けながらも、佳菜子の、ゆっこと高梨との交流は深まる一方だった。



佳菜子が片桐と付き合いはじめて1ケ月が過ぎようとしている。


佳菜子を待ちぶせる必要がなくなり、
就職活動なども考慮して、バイトの日数を減らした片桐は、
佳菜子と会う時間を大切にしていた。


それでも会えない日は、自ら電話をかけ、
なかなか切りれずに、つい長電話になってしまい、
バイト時間を増やした方が良さそうなほどの通話料金に、頭をかかえるのだった。


「だから、今度挨拶に行くって。そうすれば親も安心するだろ?」

「でも、だからって外泊を許してもらえるかどうかは分からないよ。」

「そーゆーことじゃねーだろ。娘の相手がどんな男か知っておいた方がいーだろって話だよ。だいたい、泊まらなくてもエッチはできるし」

「は?」

「いや、なんでも無いっす!」

「…ごめんね。」

「なにが?」

「二十歳にもなって…」

「あのさぁ、ひとつ気になってることがあるんだけど…俺のこと、どんな風に思ってる?」

「どんなって?」

「俺、そんな遊んでねーし。」

「え、それは…」

「まあね、人並みに酒も煙草も…クラブに行くこともあるよ。つきあいで合コンにも行ったし、今までに何人かの女ともつきあってきた。…間違いや失敗も経験してるけど、前科も殺されそうになったことも無い、ごく普通の大学生だぜ。」

「…私、煙草もクラブも経験ないや。」