どこかで誰かが…

「秋山君もテニスを?」

「先輩が怪我するまで、ダブルス組んでたんだ。」

「(怪我?)あ、それで仲良しなんだ。」

「色んなこと教えてもらったよ。」

「へー…(色んなことねぇ)」

「気になる?」

「え?!」

「どっかで会ったーなんて、気にしないでいーよ!」

「え?(別に気にしてないし)」

「昔はあんな人じゃなかったんだけどなぁ。」

「あはは、どーでもイーけど。」

「!」

「ただ、未央里ちゃんが心配だなぁ。秋山君、私もう大丈夫だから、未央里ちゃんがたぶらかされないように、戻って見張ってあげて!」

「…そうだね。駅はそこを左に入ったトコが一番近いよ。」

「わかってる。今日はありがとう。じゃあ、ここで!」

「じゃあ。」


そのまま振り返らない佳菜子は、しばらく見送っていた秋山のことなど、知るワケなどなかった。