どこかで誰かが…

フロアーでは、他のテーブルから食器を下げてきた片桐が、


「あれ?もう一人は?」

「あ、電話してる。」

「なーんだ。二人に気を使って、帰ったのかと思った。」

「だから違うって!」

「ホントに、違いますよぉ!」

「はいは〜い。ごゆっくり〜。」


また、奥に引っ込んで行く。


「忙しそう。今日は何時に上がるんだろ?」

「片付けもあるから、12時は過ぎると思うよ。」

「そっか…」



そして片桐は、トイレ前の廊下の奥まったスペースで、携帯を見つめる佳菜子を見つけた。


「なに?携帯と睨めっこ?」

「そろそろ帰ろうかと思って。」

「え…もしかして、ど田舎住まいか、お嬢様?」

「…親が心配性で。」

「育ちが良いんだ。」

「そんなんじゃ、わぁ!…びっくり〜…」


ちょうどそこに、今度はメールが入った。


『帰るとき連絡しろ。駅まで迎えに行ってやるよ。キヨ』


それを、上から覗き込む片桐は…

「キヨ?お父さん…じゃなさそうだね。」

「ちょっ!…友達です。(背も高いんだ。)」

「ふーん。そう思ってんのは自分だけだったりして?」