その勘違いが、しばらくの間、

“佳菜子を静かに見守る”

と言う空気感を、周りに与えてくれていた。


大沢のことは、
“忘れられない”訳ではなく、
“忘れたい”コトでもない。


大学の寮に入って、頑張っているらしいことは、清瀬から聞いて知っていたし、
応援も、しないことはないつもりでいる。


ただ、もう恋愛感情が湧くことは無いと確信している佳菜子。


ひとつ、昔と違うことは、
“友達”という関係では、なくなってしまったこと。


佳菜子にとっても、大沢と清瀬の存在は違うモノになっていた。



大学ニ年になった、ある日…

携帯に、未央里から電話が入り、

「佳菜ちゃん!今日なんか予定ある?」

「特に無いけど。」

「ごめん!ちょっと来てもらえる?」

「どうしたの?」

「お願い!人助けだと思ってさ!場所はね…」


よく分からないまま、
言われた場所へ行ってみる佳菜子。

するとそこは、

合コンへに向かうための、待ち合わせ場所だった。


「どーゆーこと?!」

「一人ドタキャンされちゃって」

「だからって…他にいなかったの?私、初めてだし…」