「髪、短くしたら?意外と似合うんじゃない?」


チームメイトのゆっこは、そう言ってくれるが、

この髪質でショートカットにした日には、毎朝髪が爆発して、何時に起きたら良いのか…しかも、雨に降られでもしたら、朝の苦労は水の泡になってしまう。


バスケで汗をかけば、
練習終了までには、メドゥーサに変身…

これは、お年頃の乙女にとっては一大事!


「だから、こうして結わいておくしかないの。」

「縮毛矯正は?」

「んー、考えたんだけどさ、それ、一度かけたら、ずっとかけ続けなきゃならないんじゃないかと思って。少しでも伸びてきたら、生え際が気になっちゃうでしょ?」

「なるほど。難しいんだね。」

「まあね。」


でも、それほど卑屈になっているワケではないところが、佳菜子の良いところだった。


「いっそのこと、思いっきりパーマかけてみたら?」

「!」

「で、ワックスでスタイリングしてさ!」

「…それも朝、時間かかりそーだよね?」

「慣れればなんてことないよ!」

「…」


その何気なく交わされた、ゆっことの会話が、佳菜子の心を突き動かしたのだ。