どこかで誰かが…

カラオケの帰り道、

「うい〜っす!!」

後ろから、一人の男が駆け寄り、呼び止めた。


「わぁ〜!びっくりした〜も〜」


それは高木のクラスの男子で、
ゆっことも親しそうに見えた。


「なになに〜、オケるなら誘ってくれよぉ!」

「なんで!?」

「人数多い方が楽しーっしょ!」

「歌う順番が減るでしょって!」

「そんなマジ歌いしてたのワケ?」

「まあね。」


もちろん、その中に高木もいて…


「堀口は何歌ったの?」

「え?あ…」

「やっぱり、あのサッカー少年を想ってラブソング?」

「え?」

「なんつったっけ…清…」

と、その時

「おー!そうだよ、清瀬の女だあ!」


他の男子が発した言葉に、やはり勘違いされていることを確信し、


「違うよっ!!」


カラオケの後で、喉や耳の音量調整が狂っていた佳菜子は、自分で思っているより、かなり大きな声で否定していた。


そのせいで、一斉に皆の注目を浴びることとなり…