「…」

「ねぇ、飯田くんて、いったい何者?」

「あいつは昔から、あっちこっちで良い顔して、調子のイーヤツだったよなぁ。」

「私、キライだな。」

「いーんじゃねーの。…ちょっと、脅しとくか?」

「ダメだよ!」

「ウソだピョーン!」

「空手やってたこと忘れないでよね!もう小学生じゃないんだから!」

「はいはい。」

「…大沢とも、もうちょっとすれば、ちゃんと話ができると思う。…今は、あんたとのことがショックなんだよ。時間が解決する。」

「おまえに八つ当たりするのって、おかしくねーか?」

「それは私が彼女だから!私も、あんな大沢見たくなかったし、今の状態の大沢は嫌い。でも、私が理解しなきゃ…大沢にだって思いがあるんだもん。」

「…そんなに好きか?」

「うん。」

「彼女として?」

「当たり前でしょ!」

「…バス来た。」


バスに乗り込んだ二人は、
それ以上、大沢の話をすることはなかった。


それどころか佳菜子は、普段から会話を避けるようになっていき…

それがどういうことなのか、
想像がつく清瀬だった。