そして村井はと言うと、
恐れをなして、佳菜子に近づくことはなくなり…


「なんだよアイツ!だらしねーなー!」


清瀬が気を揉む中、
もともと、村井の気持ちに気付いてなどいない佳菜子は、
ただただ、
出てはもらえない、大沢の携帯に電話やメールを送り続けていた。



「繋がんねーの?」


責任を感じ、心配する清瀬は、
バスを待ちながら佳菜子に問いかける。


「サワはプライド高いからなー。」

「あんたが皆の前であんなことするからでしょ!」

「だな。ワリイ…」

「…でもやっぱり、ノリ込んできた方が悪いよね…村井くんも、とんだトバッチリ受けちゃって…本当に申し訳けなかったなぁ。」

「いや、俺が悪かったんだよ。」

「…よっぽどだったんでしょ?…ずっと我慢してたくせに、チームメイト馬鹿にされて、頭にきたんだよね?!」

「…ふっ…ずっとだよ。今までの分が一気に爆発したって感じ。」

「スッキリした?」

「不完全燃焼に決まってんじゃん。」

「…でも、大沢は絶対やり返さないよ。分かってる?!あれ以上続けてたら、あんたが加害者で…ゆっこちゃんからも仲間からも、離れなきゃならなくなってたかもしんないんだよ!」

「…かもな。」

「ったく…むやみに挑発にのっちゃダメだよ。」

「おまえの男だろって!」

「そーだけど…」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないかも…」