どこかで誰かが…

テスト前の部活動中止期間に入り、
2年の女子バスケ部メンバーで、カラオケに行くことになった。


普段から体を動かし、発散しているはずなのに、
踊ったり叫んだりして騒ぐ皆を見て、佳菜子も十分楽しんでいた。


うち、一人がトイレから戻った時、

「ねー、高木がいたよ!」

「うっそ!」

「考えることは皆、同じだね。」

「クラスの奴らと来てるみたい。」

「あー、あいつ、部の中じゃ浮いてるからね。」

「…そーなの?」


以前、なんとなく気になった高木の事情を、偶然にも知ることになり…


「あいつって、ここ来る前どこにいたの?」

「Τ校だよ。」

「へー。」

「超スポ魂部から来たのに、うちの男バスじゃ、そりゃガッカリだろうね…上手くやれるワケないよ。」

「知らなかった…でも、頑張ってるよね?一生懸命ノリも合わせてさぁ。」

「合ってる?元々あの軽さがΤ校のノリなんじゃないの?」

「そーかな?」

「何やらかしたんだろうね?煙草かな?」

「さぁ…」

「ま、別にどーでもいーけど。」

「あ〜!この歌好き〜!誰歌うの?!」

「はいはいはい!あたし〜!」


盛り上がりを取り戻した個室で、佳菜子のテンションだけが、なぜか下がったままだった。