どこかで誰かが…

佳菜子が改札をぬける頃、

「ちーっす。」

なんとか追い付いた村井は、声をかけることができた。


「あー、このあいだの…」

「村井っす。」

「家、こっちなの?」

「はい。」

「どのへん?」

「5駅目っす。あ、ほら、前にバスケ部だった、高木とかって人と同じ駅っす。」

「え?」

「S校の制服着て、たまに見かけますよ。」

「(そっか…まだお祖母ちゃんの家から通ってんのか…学校が逆方向だから会わないんだね…あれ?)高木くんは6駅目だよ。」

「違いますよ。俺、コンビニで会ったことありますから。」

「だって!(じゃあ、ひと駅分歩いて戻ってたってこと?)…そんな…」


佳菜子は、胸が締め付けられるような痛みを覚えた。


「あれ?どうかしましたか?」

「…」


彼氏もいて、凄く幸せなはずなのに、
今さら高木の話を聞いては、胸を痛めている自分がいる。


(私、後悔してる?…え?でも、何に?)

「大丈夫っすか?顔色悪いっすよ。」

「あ、あぁ、うん。大丈夫。」

「…前に、一緒に帰ってるとこ見たことあります。」

「ん?」

「ちょっと意外だったんす…清瀬先輩以外の男といる堀口さん。」