どこかで誰かが…

休憩を、これほど面倒に思ったことは、今までに無かっただろう。


そして何人か、口止めしなければならない者の顔を頭に浮かべていた。


清瀬には、人知れず、お人好しの一面がある。


昔から、根は優しい人間なのだ。


困っている人を見て、直接手を差しのべることはしなくても、
その前後の障害物をどけてあげ、こっそり協力するようなところがあり…

気の弱い者に代わって、別の所で異議を唱え、喧嘩などのトラブルに発展しては、
その腕っぷしの強さで相手に怪我をさせてしまい、
結局、怒られるのは自分だけだったりと、
貧乏くじを引いてしまうこともしばしばあった。


ただ残念なのは、
相手が、その優しさに気づくことがほとんど無く、
時にソレを、勘違いされることがあっても、弁解すらしない。


そんな幼なじみに対し、
“もう少し自分をアピールしても良いのではないか?”と、
心配する佳菜子は…


(清瀬の周りに手のかかる人間がいるから、いつまでたっても陽の目を浴びれないんだ!)

なんてことを考え、

昔の母親からの言い付けを守り、佳菜子の面倒をみなければならないという“責任感”から解放させなければならず、

必死に“私は大丈夫!”と示すつもりで、

いつしか、清瀬を避けるようになっていった。


だから、ライバルとも言える大沢と清瀬が、別々の高校に通うことを知った時、無意識に佳菜子はホッとしていた。