どこかで誰かが…

自分を知っててくれた相手を、全く知らなかったことに対し、
申し訳なさそうに、雑誌で顔を半分隠す佳菜子。

すると、

「…チョコっすか?」

その表紙を見て、村井が聞いた。


「え?」

「あ、なんでもないっす。…じゃ。」

「あ、ありがとう!」


さっさと立ち去る村井の態度を、不思議に思わないところが…佳菜子だ。


そんな次の日…

清瀬の目に、いつもと変わらぬ村井が映った。


(昨日のダッシュは思い過ごしか?)


ホッとしたのも束の間、休憩中、ひとりの1年生がたずねてきて…


「あの…堀口さんて、彼氏いるんすか?」

「は?」

「つーか、手作りチョコって、やっぱ、本命にあげるもんすかね?」

「何の話だよ?」

「いや…本屋で雑誌買ってたって…言う奴がいて。」

「…あー、堀口って、そーゆー趣味があったような…」

「お菓子作りっすか?」

「あ、う、うん。」

「なんだ、そっかー!確かにそんな感じっすね!」


その1年は、チラッと村井の方を見た。


「あ!でも、好きな奴ぐらいは…いるんじゃねーか?(こんなこと言ってて良いのか?俺!)」

「そーっすよねぇ…」

「俺、その辺の話、よく知らねーんだわぁ。他の話はするけどなぁ…(どーすんだコレ。)」