どこかで誰かが…

本屋に来た目的であった、お菓子作りの雑誌を手に、
来年の今頃の受験を気にして、なんとなく参考書の辺りをうろつく佳菜子。


これでも、理系がめっぽう弱いと自覚し、多少、焦りも感じているといったところだ。


そして、ふとS大学のことが気になり…
大学をナビゲートする、厚めの本に手を伸ばした。


パラパラと捲り、S大の文字が目に入った時、ハッと我に帰った佳菜子は、
閉じたその本を元に戻そうとしたが、
棚から抜いた時、他の本がスペースを詰めてしまい、
その高さと重さに苦闘していた。

そこに、

後ろから伸びた手が、その本を掴み…


「え?」


振り返る佳菜子の目に、同じ高校の制服が映った。


「ありがとう。」


見上げたその顔は…

(誰だろ?)

基本的に、あまり人と関わらない佳菜子が知るわけはなかった。


その男は、もう片方の手でスペースを広げ、簡単に本を戻してみせる。


「背が高いんですね。(バレー部?)助かりました。(3年かな?)」


考えることが単純だ。

まず、この世代で背が高い方が年上とは限らないし、
ほとんどのスポーツで、長身は重宝がられるものだ。


「1年です。清瀬先輩と彼女さんには可愛がってもらってます。」

「あ、そーなんだ!ごめんなさい、私。」