大事な用事は、姉に会うことだったんだ。


しかも、その左手腕に着けてる時計は、私があげた時計じゃなくて、


姉があげた古びたアナログ時計。


きっと、私に会う時だけは、デジタル時計を着けて、
あとはマユから貰ったアナログ時計を着けていたんだ。


――その真実を知ったら、もう彼が私の腕時計を身に着けたとしても、笑えない。


二人とも楽しそうに私に気付かず笑ってる。


――私は


――私は笑えない。


話ている内容は聞こえない。
けれど、ただ話ているダケで、彼の乏しい表情を大きなもの変化出来る人はマユしかいない。


改めて見せつけられた。


……カレシいるんだから男と二人っきりで会うんじゃねぇーよ。


幼なじみだから、男友達だからとかいいとか思うかも知れないケド。


そいつはあんたのことが大好きなんだよ。
マユを幼なじみとして見てないんだよ!


そいつがただの幼なじみじゃないって
マユは分かっているんでしょ?


いい加減。彼に希望を与えるの止めて。


どうせ、叶えるつもりないんだからさぁ。


昔っから彼を心を奪って


マユなんて、


嫌いだ。


――そして私は、


――私は、


私はやっぱりただのマユの代わりになることしか出来ないんだ。


私の嫌いな奴の代わりなんだ。


こんなにも、大好きなのに……


現実逃避をして、いつの間に、彼の中の特別な人は私に変わっていると思っていた私が、バカだった――









恋人ごっこ、わたしはひとり end