「ちょっと待て」
ガチャリ。後ろで扉が閉まる気配。
俺は玄関にはいるなり強引に果歩の腕を引き寄せ、すぐ横の壁に押し付けていた。
暗闇の中、果歩の瞳が微かに寂しそうに光って見える。
床に飛び降りたブラウンの声を聞きながら、俺はたまらず玄関の電気をつけようとして――
「や、やだ!付けないで」
果歩が慌てたように俺の手首を掴んだ。
ギュッと俺の手を握り締めるその手の力づよさに俺は改めて確信をした。
「果歩、顔上げろ」
果歩の手を無視して電気を付けた俺に、果歩がすかさず下を向く。
それでも顔を横に振る果歩の顎を構わず指ですくい上げた瞬間、ドクンと鼓動が大きく揺れた。



