甘い体温②・前編・


「そう言えば、俺あれから何度も電話したんだけど」



さっきの苛立ちはどこへやら。


それから何とか気を取り直した俺は、落ち着いた足取りで再び玄関の前までたどり着いた。


もちろん果歩も一緒に…



「えっ?」


「いや、だから…今日俺何度も電話したはずなんだけど」



気持ちが落ち着くとすぐ、今度はずっと引っかかっていたことが思い浮かぶ。


昼間一度電話をしたきり、何度電話をかけても繋がらなかった果歩のケータイ。


今日は1日家にいるって確か言ってたはずなのに…


出ようと思えばいつでも出られたはずだよな?


鍵を開ける手を止め、隣の果歩に視線を向けると何故か気まずそう顔を逸らされた。



「あー…うん、ごめん。たぶん掃除してて気付かなかったかも」


「…掃除?」



聞き返した俺に果歩が小さく頷く。


その表情はやっぱりしらじらしくて、こっちを見ようともしない。