結局、それから何度電話しても果歩に繋がることはなかった。
焦りと不安。
妙な胸騒ぎを覚えながら急いで家にたどり着くと、案の定、部屋は真っ暗で果歩の姿はどこにもなかった。
「……果歩?」
サーっと血の気が引いてく感じ。
一通り部屋の中を探してみたが、その姿は見当たらない。
そしてブラウンの姿も…
……ひょっとしてブラウンの散歩か?
そう思ってみるも、時刻はもう夜の9時をとっくにすぎている。
普段果歩がこんな時間に散歩にでかけることなんかまずありえない。
しかもよく見ると、財布とケータイはリビングのテーブルの上に置かれたままで…
「ちっ、静香の言ってた予感が見事的中ってわけか」
少しの後悔が大きな後悔に変わる。
こんなことなら今朝もっとぎりぎりまで果歩と話し合うべきだった。
ちゃんと説明してやればよかった。
けれど、今更そんなこと思ってももう遅い。
俺は再び車の鍵を握ると、我を忘れたように勢いよく部屋を飛び出した。



