残酷なもんだな。
娘一人平気で捨てておいて自分は新しい家族と優雅に悠々自適生活ってわけか。
いったいどういう神経してるんだか。
そんな現実にため息しか出てこない。
俺は持っていた資料を雑にテーブルに置くと、ソファーに寄り掛かり深く体を沈めた。
脳裏に浮かぶのは怯えるように震える今朝の果歩の姿。
ガチャ…
「あら、何よ、陰気臭いわね…せっかくのいい男が台無しよ」
院長室のドアが開いて、クスッと頭上で笑う気配。
その声に顔を上げると、俺と同じく白衣を身にまとった静香が呆れたように顔を覗きこんでいた。
「お昼は食べたの?」
「ああ」
「ならいいけど。あ、そうそう、ランチのついでにプリン買ってきたわよ。はい、これ、果歩ちゃんにお土産」



