「なんだ帰ってたのか、お帰り、気付かなくてごめんな」


「あー…うん、こっちこそごめんね、少し遅くなっちゃって、しかもご飯まで…」


「いや、いいよ、今日は仕事も休みだし、それよりも買い物楽しんできたか?」


「え、あ、うん、まぁ…それなりに」



何となく気まずく答えた私に陽生が優しくほほ笑む。


だけどそんな陽生とは対照的に、あからさまに歓迎されない声がすぐさま私のところに飛んできた。



「げ、なんだもう帰ってきちゃったの?」



そう言って、心底嫌そうな顔を向けたのは、紛れもない、今ここで騒いでた沙希とかいう彼女。



そう、私の悩みの原因はまさにこれだ。


予想通りの反応に、キッチンの入り口で立ったまま私は思わず肩の力を落とす。



「もっとゆっくりしてこればよかったのに、つまんないの

せーっかく、はる君と2人だけで楽しくご飯食べれると思ってたのにさ」



お皿を運びながら、私の横を嫌そうに通り過ぎる。


その姿からはさっきまでの可愛らしい雰囲気はどこにも見当たらない。