甘い体温②・前編・


とどめと言わんばかりの美佐子さんの言葉が何故か、私の中にズシンと響いた。


とても重みのある言葉。


それはまた、沙希も同じだったみたいで完全に勢いを無くし、言葉をつぐんでしまっていた。



流れる沈黙。


息苦しさを増す時間の中で、沙希の表情がみるみると強張っていく。


それでもやまない美佐子さんの口。



「カニの皮一つまともに剥けないあんたが、偉そうなこと言ってるんじゃないわよ!」



冷たい、容赦ない一言。


だけどそれが引き金になったかのように、沙希の手がギュッと膝の上で握りこまれた。



「…じゃあ、どうすればいいのよ」


「…え?」


「私だってこんなはずじゃなかったんだもん」



何故か沙希がソファーから立ち上がり、ゆっくりと顔を上げた。




「だけどできちゃったものはしょうがないでしょ!?下ろすの怖いし、もう産むしかないじゃない!!」




……えっ?




その言葉に私の中で大きく鼓動が音を立て、一瞬時が止まったような気がした。




…………しょうがない?