――…ガチャ
「ただい……」
「きゃーすごい!はる君じょうずぅ」
入るなり、突然飛び込んできた声に思わず足が止まる。
「あー…はいはい、分かったから沙希、お前ちょっと離れろって、そんな所いたら危ないし、邪魔だろ?」
「え~だって、はる君のフライパン振る姿格好いいんだもん、もっと見てたいし」
「見てたいって、あとはもう、皿に乗せるだけだぞ」
「それでもいーのぉ、見てるぅ」
「ったく、しょうがない奴だな……もう分かったから、見ててもいいけどその変わり、とりあえず棚から人数分の皿を出してくれ」
「はーい、了解しましたぁ」
「いーか、くれぐれも落っことして割るなよ、お前はそそっかしいから……って、あれ、果歩?」
フライパン片手に振りかえった陽生が、少し驚きながら私を見た。



