甘い体温②・前編・


また、ぽろぽろと泣きだした沙希に、陽生が難しそうに顔を歪める。


なんだか私まで複雑な気持ちに襲われて、胸が苦しくなっていた。


まぁ、沙希の気持ちも分からなくはないけれど。


でも……


思わず隣の陽生の手をぎゅっと握り、横顔をみると何かを考えてるように沙希を見つめていた。



「じゃあ、美佐子さんには?」



その名前に沙希が体をビク付かせる。涙は止まるどころかよりいっそう激しさを増した。



「う…ママにもまだぁ…」


「はぁ…やっぱりそうか……」



あえて予想通りだったのか、陽生の呆れたようなため息が宙を舞った。


片手で目頭を押さえながら、なんとも言えない表情でうな垂れている。



「だから俺の所に来たのか」


「だって、他に相談できる人がいなかったんだもん。

それに、はる君だってよく知ってるでしょ?ママの怖さを…。言ったら最後、私どうなるか分かんない」


「だからってお前なぁ……」