甘い体温②・前編・


「で、相手はこのこと知ってるのか?」



ドキンと一気に緊張がはしる。


その言葉に沙希の表情が一瞬にして強張っていくのが分かった。



「言ってないのか」


「…っ……」



言葉を詰まらせる沙希。


俯き、唇を噛みしめた沙希に陽生が眉を寄せないはずがなかった。



「沙希?」


「だ、だって、しょうがないじゃない!言えないよ。先輩今年受験で……」


「は?先輩って…同じ学校なのか?」



驚いた陽生に沙希が目を潤ませながらコクンと頷く。



「先輩、夢、あるの。将来医者になりたいって…毎日勉強頑張ってるの…だから……」


「だからって…このままずっと言わない気でいるのか?」


「わ、分かんない…」


「分かんないってお前……」


「だって、どうしても言えないんだもん!先輩の夢、邪魔したくない」