「で、相手はこのこと知ってるのか?」
ドキンと一気に緊張がはしる。
その言葉に沙希の表情が一瞬にして強張っていくのが分かった。
「言ってないのか」
「…っ……」
言葉を詰まらせる沙希。
俯き、唇を噛みしめた沙希に陽生が眉を寄せないはずがなかった。
「沙希?」
「だ、だって、しょうがないじゃない!言えないよ。先輩今年受験で……」
「は?先輩って…同じ学校なのか?」
驚いた陽生に沙希が目を潤ませながらコクンと頷く。
「先輩、夢、あるの。将来医者になりたいって…毎日勉強頑張ってるの…だから……」
「だからって…このままずっと言わない気でいるのか?」
「わ、分かんない…」
「分かんないってお前……」
「だって、どうしても言えないんだもん!先輩の夢、邪魔したくない」



