「ちょっ、果歩ストップ!」
突然向けられた大きな声。
驚き、ふと顔を横に向けるとそこには何故か、呆れたように陽生が私を見ていた。
「えっ……」
「いいからちょっと落ち着けって、つーか今はそんなくだらないことでもめてる場合じゃないだろ?」
ため息を吐いた陽生。
そのままグイっと引っ張られて元の場所に引き戻された。
「沙希も沙希だ、あんまり果歩を刺激するようなこと言ってんじゃねーよ。
お前こそそんな呑気に言い合いしてる場合じゃないだろ」
そう言われ、私も沙希も言葉をつぐむ。
確かに、陽生の言う通りだ。
今ここでこんなバカげたやり取りをしてる場合じゃないのかも。
気まずくなった私は陽生から視線を逸らす。
しゅんと俯いた瞬間、冷静さが少しづつ戻ってくる。
はぁ…と息を吐き、再び顔を上げれば陽生が真剣な面持ちで沙希を見つめていた。



