「う……はるく…気持ち悪い……」
だけどそんな弱い気持ちは沙希の苦しそうな一言で一気に吹き飛ばされる。
「そうだ!洗面器!すぐに持ってこなきゃ!」
そうだよ、何泣きそうになってるのよ私は!
こんな時にへこんでる場合じゃない!
私は気を取り直したようにそう告げると、くるっと陽生から背を向けた。
「ああ、頼む。ついでにタオルも持ってきてくれ!」
陽生もそんな状況を察したように私に言葉を向ける。
頷いた私は勢いよくその場から駆け出した。
「沙希大丈夫か?」
吐けるだけ吐き、少し落ち着きを取り戻した沙希に陽生がタオルケットをかける。
傍には往診用に使うちょっとした医療器具。
グッタリとソファーに横たわる沙希の脈を計りながら、少しだけほっと表情を緩めた。
「さっきよりは落ち着いてはきたけど…でもまだ顔色悪いな…」
そう呟き、休むことなく手を動かす。
その隙のない手慣れた動きを見ながら思わず感心してしまう。
今更だけど、陽生って…医者…なんだよね。
普段こんな姿なんて見ないから、改めて納得してしまう。



