甘い体温②・前編・


せ、洗面器。


そうだ、とりあえず洗面器を持ってこなきゃ!


ない頭を必死に振り絞った私は慌ててその場から立ち上がる。



「ちょ、ちょっと待っててよ!」



沙希にそう言い残し、走りだそうとしたその瞬間――



「果歩?」



後ろから陽生の声が聞こえて私はピタっと動きを止めた。


陽生は私達の様子を見るなり驚いた顔で駆け寄ってきて……



「どうした!?何があった!」



低い声を上げる。


沙希のただならぬ姿に気づき、私に視線を向けた。



「わ、分かんない…。来た時にはもう苦しそうにうずくまってて…」



声が震える。動揺しすぎてうまく言葉にならない。


陽生の顔を見た途端安心したのか、急に泣きそうになってしまって…