せ、洗面器。
そうだ、とりあえず洗面器を持ってこなきゃ!
ない頭を必死に振り絞った私は慌ててその場から立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待っててよ!」
沙希にそう言い残し、走りだそうとしたその瞬間――
「果歩?」
後ろから陽生の声が聞こえて私はピタっと動きを止めた。
陽生は私達の様子を見るなり驚いた顔で駆け寄ってきて……
「どうした!?何があった!」
低い声を上げる。
沙希のただならぬ姿に気づき、私に視線を向けた。
「わ、分かんない…。来た時にはもう苦しそうにうずくまってて…」
声が震える。動揺しすぎてうまく言葉にならない。
陽生の顔を見た途端安心したのか、急に泣きそうになってしまって…



