甘い体温②・前編・


「そうですか。ありがとうございます」



そう言うと、何故か嬉しそうに笑い、病院にの方へと歩いて行ってしまった女性。



……患者さん、かな?


それとも陽生、いや静香さんの知り合い?


そう思いながら、遠ざかって行く綺麗な背中を少しの間じっと見つめていた私。


すごい。後姿までパーフェクト。


微かに残るフローラルの香に余計心奪われてしまう。


やっぱり、本物のモデルさんだったりするのかな?


呑気にそんなことを考えながら再び歩き出した私だったけれど。




まさか、この出会いが私達の新たな波乱の幕開けになろうとは。


この時の私にはこれっぽっちも想像なんてできなかったんだ。












ねぇ、神様。


お願いだからもう何事もありませんように。


ずっとずっと陽生といさせてください。


どうか、どうかこの先もこの幸せが永遠に続きますように。





どうか、お願いします――…