「そうですか。ありがとうございます」
そう言うと、何故か嬉しそうに笑い、病院にの方へと歩いて行ってしまった女性。
……患者さん、かな?
それとも陽生、いや静香さんの知り合い?
そう思いながら、遠ざかって行く綺麗な背中を少しの間じっと見つめていた私。
すごい。後姿までパーフェクト。
微かに残るフローラルの香に余計心奪われてしまう。
やっぱり、本物のモデルさんだったりするのかな?
呑気にそんなことを考えながら再び歩き出した私だったけれど。
まさか、この出会いが私達の新たな波乱の幕開けになろうとは。
この時の私にはこれっぽっちも想像なんてできなかったんだ。
ねぇ、神様。
お願いだからもう何事もありませんように。
ずっとずっと陽生といさせてください。
どうか、どうかこの先もこの幸せが永遠に続きますように。
どうか、お願いします――…



