甘い体温②・前編・


そして……



「きゃっ…」


「あっ、ごめんなさい」



病院を出る瞬間、すれ違いざま誰かとぶつかってしまい、思いっきり尻もちをついてしまった私。



「あの、大丈夫ですか?」


「いえ、こちらこそよそ見をしていたもので」



慌てたように手を差しのべられて、私はその手を掴む。



「……すみません。ありがとうございます」



そう言ってゆっくり立ち上がり、目の前の人物と向かい合った瞬間、あっと思わず声を漏らしてしまった。



だって、目の前のその人があまりにも綺麗だったから。


目は大きくクリックリで、ふさふさの睫毛。


手足も細くて驚くほど長いし。


ブランド物の鞄に、ブランド物の靴。


エレガントな衣服に包まれた姿があまりにさまになっていて。


まるで、モデル雑誌から抜け出てきたような女の人。


女の私から見ても思わず見とれてしまうほどだった。