甘い体温②・前編・


「はいはい、なーにいっちょ前に照れてんのよあんたは…」



そんな陽生を見て、またまた静香さんの突っ込みが炸裂する。



「デレデレしてるんじゃないわよ。ったく…。本当、果歩ちゃんのことになるとキャラが変わるんだから」


「っ、うるせーよ。お前だってさっき柄にもなく顔を赤くしてたじゃねーか」



人のこと言えるかよ。ってふて腐れながらも、私の手をぎゅっと握り返してくれた陽生が可愛くて、


また、笑いが止まらなくなってしまった。


ホッと空気全体が温かくなった気がしたんだ。



いいな、こういうの。


陽生がいて。


静香さんがいて。


大切な人達と、こんな風に穏やかに笑い合えるのって、本当に素敵なことだよね。


それでいて、とてもくすぐったいような…


2人のやり取りを見つめながら、本気でそう思えた私。


改めて人の温かさに触れたって感じで、もうこの上ないぐらい幸せな気分を感じていたんだ。